2011年10月29日土曜日

為替占領【11年18冊目】


為替占領 もうひとつの8.15変動相場制に仕掛けられたシステム

<本の紹介>
3・11後に、なぜ円高にふれたのか?誰もが、日本売りで円安になると思ったのに、急激な円高!その後の協調介入はなぜあれほど素早く行われたのか!?全ての疑問がこの本を読むと解明されます。為替を通してみると世界の動きと、日本の位置がはっきりと分かってきます。1971年8・15のニクソン・ショックから始まった苦難の円高、借金棒引きシステムを余す所なく暴きます。なぜ、為替介入が行われ、その米ドルは換金できないのか?しかも、ディーリングで見ていると、必ず先行してプライスアクションが起こるというリアル。全ての経済予測はこの本を抜きにしては語れなくなる。為替は実はゼロ・サムゲームなのです。
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<メモ>
・90年代のアジア通貨危機、ロシア通貨危機、昨今のアイスランドも広義の意味での通貨危機と捉えれば、為替政策の脆弱性が結局は政権や国家の経済システムを崩壊させることに繋がってしまうということは今も昔も変わらない。歴史の中の類似性は偶然の域ではあるまい。であるからこそ、我々が今後の処方箋として歴史のアナロジーを生かす余地は大いにあろう。
・世界の投資資金は、いわゆる平時であればより収益の上がりそうな場所を求めて動いている。スイスも日本円同様に、他国に比べ相対的に低金利であるがゆえに、通常は低金利のスイスを売って、高金利の他通貨を買う、というスイスキャリーが発生しやすい。しかし、一度金融危機などが発生すると、危険な場所を避け安全な場所に戻るという性質が資金にはある。地政学的に経済的にあまり関係のない、あくまでも中立国の立場を取るスイスは緊急避難先なのである。世界の富裕層の資金がスイスに集まり、平時はそこから海外へと投資資金が出ていくのなら、緊急時にはスイスに戻ると考えれば納得がいくのではないだろうか。あるいは、円キャリーやスイスキャリーは危機が発生するという情報が伝わった瞬間に、もともとの資金の出所である円やスイスに戻っていくという方がむしろ説明が付くかもしれない。平時と皆が思っているときに、実は情報をいち早く仕入れている一部の投資家は、一足先に危険な市場から撤収を始めているのである。それが、為替取引においてスイス。フランだけに見られる異常な買いとなって表れる。
・為替と株式市場を中心に季節要因のサイクルをまとめると、、、
▼1月:欧米企業の会計年度がスタートするために変動が大きい。日本人がお正月気分でいる間に仕掛けられることも。ボーナス資金が市場に入ってくるため、前年11月終盤から日本が正月休みの3日目まで米国は株高。それにつられてドル高。よって円は独自の理由からというよりも、ドル高のため円安に。
▼2月:以前はシンガポール、香港などアジアの相場参加者が旧正月に入るため閑散。中国も旧正月を祝う文化圏であるので、世界一のプレーヤーとなりつつある中国の存在を考えれば今後も2月は相場の動きは鈍くなるというのが順当だが、敢えてその隙を狙って政策金利の変更を行う等、相場参加者の裏を読む行動を中国通貨当局は取る。
▼3月:日本の会計年度が終了するために、下旬には日本の投資家の外貨資産の処分で一時的に円高に振れる場合がある。特に3月31日と4月1日ではがらりと相場の雰囲気が変わるので要注意の日。
▼4月:前半は欧米がイースター休暇のため欧米からの参加者は少なめ。日本の会計年度スタートで本邦からの海外投資が活発化し、円売り、他通貨が買いとなりやすい。4月末には日本はゴールデン・ウィークに突入することから、以前は海外旅行による需要などで基本的には円安と言われてきたが、日本人が休み気分でいる中を2010年に見られたようにユーロ危機を演出するなど、狙い撃ちされやすい。ゴールデン・ウィーク前に市場が売り・買い一方方向に偏っている場合は、その動きの加速、あるいは逆の動きもあり要注意。2011年は年初来急騰していた銀相場がターゲットとなった。
▼5月:ゴールデン・ウィーク前の雰囲気が変わっていることもあるが、夏に向け米株高となる場合が多いため、ドル高が定石。本邦の年金など新規投資を始める時期でもあるので、円売り。但し2011年は震災直後ということで本邦から海外への資金流出は手控えられるであろう。
▼6月:1年の折り返し地点ということで、相場も一服。
▼7月:6月に続き大きなイベントはなく、ここまでのドル高、株高の流れを継承しやすい。
▼8月:海外は夏休みシーズンに入り、日本もお盆となるが、このお盆の時期にLTCM、サブプライムなどの経済危機が発生することも多く、ドル安のスタート地点となることが多い。
▼9月:8月にスタートしたドル安の流れを引き継ぎやすい。株価もピーク、あるいは高値から下落を始める時期。米国のデフォルトあるいは新通貨制度の発表などがあるとすれば、8月―9月の可能性が高いと個人的には考えている。
▼10月:ヘッジ・ファンドなどの中で、早めに1年のポジション(持ち高)を調整し始めるプレーヤーが出てくる。ドル安・株安継続。
▼11月:米国はサンクス・ギビング・デー(感謝祭)が後半に控えているため、ポジション調整の動きが加速。以後クリスマスまで長期休暇。
▼12月:中期以降は特に閑散。海外は休暇モードでクリスマス前後の取引はほとんどない。基本的には11月にドル売りが加速し、12月には一服。欧米企業の自国向け利益送金もあって、特にドルは底堅い展開に。12月28日より取引は活発化するので、年末年始は要注意。
端的には春に向け円安(ドル高)、秋口から円高(ドル安)というパターンとなりやすい。
・日本国で経済活動を営んでいるのは、5つの経済主体となる。それは①政府、②家計、③金融機関、④非金融法人(一般企業)、⑤民間非営利団体(NPO)。日本の場合は政府が借金をしている側で、国民がその貸し手である。それにもかかわらず、国民の借金としている点で報道はおかしい。政府が踏み倒さない限り、国民にとって資金の貸し出しは資産である。
・2002年の格付け会社の日本国債の格下げに対して、財務官が送った説明を求めるための書簡。(ま、リーマンショックで格付けが意味をなしていないことはわかっていますが。。)
(1)日米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとして如何なる事態を想定しているのか。
(2)格付けは財政状態のみならず、広い経済全体の文脈、特に経済のファンダメンタルズを考慮し、総合的に判断されるべきである。例えば、以下の要素をどのように評価しているのか。
 ・マクロ的に見れば、日本は世界最大の貯蓄超過国。
 ・その結果、国債はほとんど国内で極めて低金利で安定的に消化されている。
 ・日本は世界最大の経常黒字国、債権国であり、外貨準備高も世界最高。
(3)各国間の格付けの整合性に疑問。次のような例はどのように説明されるのか。
 ・1人当たりのGDPが日本の3分の1でかつ大きな経常赤字国でも、日本より格付けが高い国がある。
 ・1976年のポンド危機とIMF借り入れのわずか2年後(1978年)に発行された英国の外債や双子の赤字の持続性が疑問視された1980年代半ばの米国債はAAA格を維持した。
 ・日本国債がシングルAに格下げされれば、日本より経済のファンダメンタルズではるかに格差のある新興市場国と同格付けとなる。

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