2014年7月28日月曜日

表現のメモ


  • この400mほどの坂道の界隈には、ドラマがぎっしりとつまっている。道は狭いが、厚みがある。
  • <微分>というのは、実は何も難しいものではありません。高校の教師はかつてそう私に語った。<微分>というのは、動いているもの、移ろいゆくものを、その一瞬だけ、とどめてみたいという願いなのです。カメラのシャッターが切り取る瞬間。絵筆のひと刷きが描く光沢。あなたのあのつややかな記憶。すべて<微分>です。人間のはかない"祈り"のようなものですね。微分によって、そこにとどめられたものは、凍結された時間ではなく、それがふたたび動き出そうとする、その効果なのです。
  • まったく曇りのない、虹彩の大きさまでわかるようなその澄んだ瞳は、私の身体を素通りして私の背後の、もっと遠くの場所に投げかけられている。彼女の前で、私は透明な存在に過ぎない。
  • 「お前の孫が読んで誇れるものにしたい」
  • この変わりゆく世の中で、もし変わらぬものがあるとすれば、富士の高嶺の雪と通勤電車の混雑ぐらいなものでしょう。
  • 顧客が購入するのは、輸送手段ではなくステータスだ。(キャデラック事業部長)
  • 侵略すること火の如く、その疾きこと風のごとく、その動くこと雷震のごとし
  • 「疲れはせぬ。それよりもあんたの様子を見ると、京にいたほうが疲れるようだ。」
  • 下部構造が上部構造を決定する。
  • 強い人は、弱い人が相手でないときもっとも強い
  • 『私は原石を宝石にしました』と言ってあげたいよ。
  • 「明日の事を語れる今日の幸せ」
  • 「成功と共に嫉妬は増え、尊敬されて孤独になる」
  • 「母は太陽より大きく、いかなる神々より神聖なり」
  • 苦悩させられるのではなく、苦悩するのだ。愛されるのではなく、愛するのだ。生かされるのではなく、生きるのだ。
  • 男は傷を負いながら強くなるが、女は記憶の化粧をして美しくなる。
  • 若い頃不良をきどっていた人ほど、まっとうに生きていこうとする。今では政治家やエグゼクティブなビジネスマンよりも、ロック・ミュージシャンたちのほうが、遥かに真摯に環境問題に取り組んでいるではないか。
  • 小説は既に過去の表現形式でいらないものだと、本気で考えた。むしろテレビ・ゲームのほうが、小説で書くべきことを的確に表現しているかもしれないのだ。
  • 幸福な家庭の幸福は似通っているが、不幸な家庭の不幸はそれぞれ趣を異にしているものである。
  • ビールあびーる。
  • 食べてないのに気になるカレーは、デキそうでデキなかった女との関係のようで、おそらく一生デキないだろう。
  • 東京タワーはほおずき色の鉄骨が足を広げてズーンと立ち上がっており、女の股ぐらを下から見上げる気分だ。
  • あとから来た常連の客が煮込みを注文し、「鍋の下の方」と言った。大鍋でたっぷりと煮込まれた煮込みだが、「下の方」と注文する爺さんが素敵じゃありませんか。下の方がうまそうな気がするものなぁ。おかみさんが「あいよォ」と答えるきっぷもよく、客と店との呼吸はそう簡単に成立するものではなく、ぼくは、時間をかけて熟成させたドラマをかいまみる。客も店も料理も酒も時間をかけてコトコトと煮込まれ、ちょっと見は泥臭くて野暮だが、そのくせラインダンスのような花がある。
  • 言葉は「言の端」ではなく、事(行為、行動)と同じ意味を持つ。言葉の乱れは生活の乱れ、逆に、生活の乱れは言葉の乱れ。
  • 誕生日って母の日だと思う。
  • 初給料日って父の日だと思う。
  • 起きていながら目が覚める感覚。
  • 青空は史上最大の読書灯。
  • 赤ちゃんの寝息は、ママへの子守唄。
  • 「明日からやろう」を30回言うと、1ヶ月が終わる。
  • 明日の為に、今やろう。
  • 遊んでいるのではない。給料に合わせて働いているのだ。
  • 親は、半分しか育てられない。
  • コオナルト・ザ・ピンチ。
  • 大変なことが多い人。略して、大人。
  • 僕の君は世界一。
  • 男を昼は馬車馬のように夜は種馬のようにこき使うとか。
  • 冗談としては、「こんなに毎日まずい物ばかり食わされているんなら、いっそのこと鶯にでもなった方がましだわい」などと言う人も、ないわけでもないようです。でもそこへ魔法使いでも現れて「では望み通りこれから鶯にしてやろう」とでも言おうものなら、たちまち逃げ出すことでしょう。
  • 駒井甚三郎は、それがためにかなり多くの費用をお松の手に渡していきました。お松は、それを辞退しましたけれども、辞退すべき性質のものでないと諭されて、いさぎよく預かっておきました。
  • 面白半分というより、面白八分でやったこと
  • 曇りにしては気分が軽い、晴れにしてはしっとりとした、都の春の宵の色。
  • どこかの星に咲いてる一輪の花を愛していたら、夜空を見上げるのは、心のなごむことだよ。星という星ぜんぶに、花が咲いているように見える。
  • 砂漠が美しいのは、どこかに井戸を、ひとつかくしているからだね…
  • 子供たちは、ぼろきれのお人形に時間を費やす。だからそのお人形はとっても大事なものになる。それで、とりあげられると泣くんだね…
  • いちめんに黒い海が広がり、そのすぐ上に、赤い月が浮かんでいる。黒い幕にナイフをすっと走らせたような、細い、赤い月だ。窓をあけた瞬間にそれが目に飛び込んできたので、なんだかひどく劇的な感じがした。静かな波音が、ずっと下のほうから聞こえてきた。
  • 後楽園の「天下の憂いに先立って憂い、天下の楽しみに遅れて楽しむ」という精神。
  • 植物園は広大だった。小石川後楽園の場合もそうだったが、こういう広大な施設では中心部に向かって歩を進める最初に、一瞬であるが、右に行くべきか左に行くべきか心に迷いが生じる。そのときわれわれは気づくのである。その迷いに対応するかのごとくたいてい「順路」と書いた札が立っているのである。だが、わたくしは順路という札を好まない。いんちき宗教のように、こちらの心の迷いにつけこんでくるからである。親切顔をしているからである。親切顔をしながら指図しているからである。信用せよと言わんばかりの顔つきをしているからである。皆さんはたいていこの指示に従っていますよ、と言わんばかりの顔をしているからである。相手が考えるべきことにまで踏み込んでいるからである。
  • 「サッカーなんてのはなぁ、敵を全員抜き去って枠の中に決めりゃぁいいんだ」「俺はなぁ、嫁と娘に愛されたら十分に幸せなんだよ。あんたに愛されたくはない。」―どちらもリケルメ。
  • 「自分しか知らないチョコレートの盗み方を、どうして他人に教えるんだよ。まったくお前はイノセント(純真無垢)で、アマルゴ(苦い)ヤツだな。」
  • 決然と滅亡に向かって扉を開ける。これは、呪われし者の特徴的な行動だ。
  • 不採用になった情報も何件かありますが、その際の館主さんの判断とその明解な解説連絡を戴くことの方が採用と同じくらい嬉しいですね。「一喜一憂」としないで「嬉々」とした次第です。
  • 服を体に合わせるのではなく、体を服に合わせていただいた。
  • 自分の頭とハートが、今の今までつながっていなかったのだ。
  • 「鰻は脳溢血で死んだんでしょう。脳溢血かコレステロールの関係でしょう。鰻は全身アブラですからね。どうしても血管に悪く作用する。」

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