2011年8月15日月曜日

本「道の先まで行ってやれ!―自転車で、飲んで笑って、涙する旅」【11年30冊目】

<本の紹介>
踏み出せば、空気が変わる。世界が広がる。
世界87ヵ国を走った『行かずに死ねるか!』の著者が、3年半ぶりに、今度は日本各地のチャリンコ旅へ。クマに怯え、いい感じのお姉さんと踊り、行き当たりばったりで入った店で店主と飲みあかす──。出会いに満ちたロードムービーがてんこもり!

<メモ>

  • いちめんに黒い海が広がり、そのすぐ上に、赤い月が浮かんでいる。黒い幕にナイフをすっと走らせたような、細い、赤い月だ。窓をあけた瞬間にそれが目に飛び込んできたので、なんだかひどく劇的な感じがした。静かな波音が、ずっと下のほうから聞こえてきた。
  • どうも、あらかじめ決めて行った店をまわるような旅だと、人との出会いが極端に減るような気がする。たまたまだったのかもしれないが、結果として、そうなった。
  • 照葉樹林が広がる地域は世界でも限られ、その地域には共通した生活習慣―焼畑、絹、漆、味噌や納豆の発酵食品、餅食などが見られるという。それを「照葉樹林文化」と呼ぶのだそうだ。
  • 唐突に話しかけてきた。まるで以前から互いによく知っているような間柄みたいだ。ああ、沖縄だな、と思う。人同士の距離の近さは北海道でもよく感じるが、こっちはまた違う。人と人とのあいだには最初から壁なんか存在しないのだ、とでも思いたくなるような自然な雰囲気があった。
  • ぼくは自転車旅行に、修行の要素をあまり求めてはいない。だから坂を好んで攻めることもしないし、雨の日などはまったく走る気がしない。ぼくにとって自転車旅行は、自由という点、自然により近付ける点、エンジン音がない点、そして走った後のメシとビールがうまい点などがいいわけで、求めているのは、ただひたすら悦楽。晴天のなかを気持ちよく走りたい、それである。雨の日は本を読んでいるほうがいい。
  • 「たぶん、人間の幸福な生活とは、こういう単調にさえも見える、隔絶されている世界にあるのかもしれない」ほかの人、ほかの人生を見ればきりがない。欲にもきりがない。自分のいる場所、身のまわりのこと、自分の立場、それらを愛することができるかどうか。それが人の人生を左右するんじゃないだろうか。番台のおばあさんの話を聞きながら、そんなことをぼんやり考えていた。

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