2009年9月4日金曜日

本「下天は夢か(4)」

著者 : 津本陽
角川グループパブリッシング
発売日 : 2008-11-22
<本の紹介>
長篠で武田騎馬隊を撃破した信長は、一向一揆を率いる石山本願寺攻めに取りかかる。安土城を拠点に、諸国からもたらされる情報を分析し、天下政権の確立に向けて次の作戦を練り上げてゆく。中国路で戦果を挙げた羽柴秀吉が寵を集める一方で、信長の猜疑心深い暗黒の性格は、次第に制御を失いつつあった…。信長の思考、行動に、緻密なままでの分析を試みつつ壮大なスケールの戦国小説として描ききった歴史文学の最高傑作、完結。
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「人間五十年、下天のうちをくらぶれば、夢幻の如くなり。一度生を享け滅せぬもののあるべきか」
この一節を覚えたのは、中学くらいの頃かな。信長の野望にはまって、ずーっとやってたら戦国時代の武将はもちろん日本地図まで書けるようになってたし、「九十九茄子」とか有名な茶器の名前までも気づけば覚えてた。

でも、ここまでちゃんと織田信長って人物のことを深く知ったのは初めてでした。鋭すぎる切れ味の日本刀に接しているようなイメージだったんだろうけど、力を持ってた人だったんだろうなと思いました。
そして、夢半ばで潰えたとは言え、一旗上げるとかそういうレベルでの話でなく、この国をもっと安定させるには、繁栄させるにはどうしたら良いかってことを考えてた。領民(=国民)がもっと安心して農業に精を出せるようにするのに必要な制度は、とか、商売をもっと活性化する為に荘園や土豪の設置したうじゃうじゃある関所が邪魔だから撤廃する、とか、都市を行き来する為の間道の整備が必要、とか。お金を稼いで使って終わり、でなく、この人が作った楽市楽座の制度や、道路なんかのインフラは後世にしっかり残ってった。
織田信長のしたことは良かったのか悪かったのか、それをゼロイチで判断するのはあんまりしたくないですが、俺は何も残せなかった人たちがたくさんいた中でこれだけのことを残してった人ってとこだけでも評価されて当然なのかな、と思います。

何が違ったんだろう。
「頭領としてのハロー効果」とか、「ブレない志」とか、「現地現物主義(ト○タ風に言えば)」とか、「変化への柔軟性」とか、考えられる要素はたくさんある。それらは全て結果論だけど、必要な要素だったと思います。せっかく、こういった本を読んでこういう気づきを得られたんだから、これからの自分にちゃんと活かしていけるといいなぁと。そう思います。

いや、いい作品だったなぁ。楽しめました。

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