2009年9月19日土曜日

本「坂の上の雲(5)」

<本の紹介>
強靱な旅順要塞の攻撃を担当した第三軍は、鉄壁を正面から攻めておびただしい血を流しつづけた。一方、ロシアの大艦隊が、東洋に向かってヨーロッパを発航した。これが日本近海に姿を現わせば、いま旅順港深く息をひそめている敵艦隊も再び勢いをえるだろう。それはこの国の滅亡を意味する。が、要塞は依然として陥ちない。
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読んでて、色んな立場の人が色んなものを背負って戦ってるのを改めて感じました。
特に、上層部の面々の描写。本当に多岐に渡って取材して、魂込めて書いたんだろうなって、中身もそうだけど司馬さんに感謝を伝えたいと思いました。この人、本当にすごいですね。
「売れる本を書こう」とか、そういう次元の本じゃない。

同じ日本人に伝えたいことがあったんだろうな、残したいものがあったんだろうな、自分も日本人の端くれとして、それを感じて読まずにはいられない。時には日本のダメさ加減の描写も、一時的には反感を買ったとしても長い目で見て「後世に伝える」って意味じゃ宝になってると思います。

自分たちの本当の歴史をリアルに描くことで伝えたかったのは、この人が日本人として生まれて、歴史を創る戦争に自らも参加して感じた、「日本に生まれたことへの、同じ国に生まれた人たちへの感謝」だったんじゃないかな。とか、思いました。そういう想いを感じるからこそ、いろんな人が共感する作品な気がします。

この戦争を戦った人たちはたくさんの同じ時代に一緒に生きた人たちの生死に直面して、自分の限界も何度も味わって、何度も死線を越えて、でもそこから逃げることもできない。およそ彼らの想像できなかった未来を生きてるだろう自分は、その彼らへの感謝も少なくとも今までしてこなかった。
「イチ(1)どハク(89)うにっシン(4)やきそば」とかってロゴで覚えた日清戦争と、その10年後の日露戦争。年号を語呂合わせで覚えただけだった日本の歴史上の出来事は、今、リアルに脳裏に刻まれていってる。「これをどこかで教科書にしたらいいのに」とか思うけど、多分中学、高校の俺がそんな授業を受けても余計読まないと思う。焼くか捨てるか売るか。。。今思えば恥ずかしいことだけど、多分そんな感じ。
でも、仕事を始めて、自分の生き方を考えるようにもなって、戦場に駆り出された人たちはその先に「死」が待っていようとも上官の命令は絶対で、逆らうことは許されない。そんな人たちと比べたら、自分はまだまだ甘ちゃんだと思うし、けどそれでもこの時代にこの平和な国に生まれたことを感謝したい。そしてそういう世の中に生まれたんだったら、したいことを思う存分させてもらおうかな、なんて気にもなってくる。

口で言うのは簡単だ。そろそろ、自分も形で見せなきゃな。

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