2019年12月21日土曜日

一橋大学公開講座

この日は、一橋大学で興味のある公開講座があったので参加してみました。

タイトルは、
「企業ビッグデータから見る地域経済と地域振興政策」。


立川市の観光の話でも「市内にあるデータをどう活用するか」みたいな話が出ていたり、先日のデジタル多摩シンポジウムでも同じようなテーマを持っていたりしたので、これからこの「地域×IT」の分野は試行錯誤がどんどん始まっていくはず。
そんな時代に、自分には何ができるのかヒントをもらいたくて。

久しぶりの一橋大学

きれいな構内

配布資料

ほぼ満席の会場
会場で聞いてメモしていたことの備忘。

▼帝国データバンク 後藤さま

  • 平成以降で1兆円企業になった企業は全て大企業のグループ会社。ベンチャーで日本の大黒柱に育った企業はまだない。
  • 住民・議会・行政では見えている情報、世界が違う。企業内の製販でもよくあるが、摩擦が起きやすい構造。
    →RESASは同じデータをみんなが見えるようにすることが狙い。
  • 立川市は昼間の人口の方が多い。
  • 地域経済循環図を見れば、市内外のお金の流れ(循環率)がわかる。市のマーケット規模がどの程度で、そのマーケットからの分配額(所得)がどのくらい市内に還流し(市外にどれだけ流出しているか)、消費の流れのうち市内の人の消費割合がどれだけあるか(外貨をどれだけ稼いでいるか)。
    https://resas.go.jp/regioncycle/#/map/13/13202/2/2013
  • 立川市の労働生産性は全国平均より実は低い。(ただし、情報通信業>情報サービス業に限っていえば東京都の2倍。立川市 55,457, 東京都 32,739, 全国 30,375千円/人)
    https://resas.go.jp/data-analysis-support/#/municipality-labor/13/13202/2/-
  • 各社の取引先を見れば、その1社が元気になることでどのような企業が元気になるのか関連性が見えてくる。
    例えば、壽屋@立川市(2017年JASDAQ上場)の事例でいえば、
    • 骨格となるユニバーサル企業:ヤマト運輸、日立製作所、ヤフー、大塚商会
    • 商材独自のオリジナル企業:バンダイ、講談社、カネバン(玩具製造@奥多摩) etc
      →壽屋から多摩の企業が元気になる、ということがわかる。
  • 帝国データバンクでは、企業間取引可視化システムの準備も進めている。有料にはなるが、受発注の流れが見えてくるとわかることがある。(4K:経験を勘と気合と根性 がなくても判断でき、データ経営が実現できる)
  • 創業比率は東京や全国の平均よりも立川市の方が高いこともわかっている。
▼一橋大学 岡室さま

  • かつて各地域で産業クラスタを形成する計画が定義され推進されていた。
    →立川近辺の場合はTAMA協会。
    https://www.rieti.go.jp/jp/publications/pdp/03p004.pdf
    https://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/10081301_okazaki.pdf
  • 地域未来牽引企業という指定がされている企業もある。
    https://ledix.jp/
  • EBPM(Evidence Based Policy Making:証拠に基づく政策立案)は政策だけでなく、企業の中でも進めていくべきアプローチ。
  • 相関関係と因果関係は見極めて使い分けていく必要がある。相関関係は双方向、因果関係は一方向。
  • 結論からいえば、ソフト支援はハード支援よりも効果的。特に中小企業は、大企業よりもマッチングの効果が高いといえる。

▼学習院大学 西村さま

  • 市レベルでR&D支援を行っているところはあまり見られない。
  • ミラサポ:中小企業向けのサポートサイト。
  • 近年は、補助金制度の事情として応募件数が減っている傾向にある。応募した件数がそのまま通ってしまうケースも増えている。(市→県→国となるほど競争率が上がるので、実は市の助成金は狙い目かも)
  • 地理的条件(距離的に近い企業)との連携を重視してもうまく行かないケースが目につく。連携分野や受け入れ体制がどれだけマッチするかの重視が必要に感じる。遠くても柔軟に対応できる企業は組みやすいし、結果うまくいきやすい。
  • 生産性を向上させるなら、同じグループウェアを選んでやりとり(相互乗入)できるとよいケースもある。
  • 採択や連携による効果の代表的なものは「相乗効果」と「評判効果」。
  • 生産性をどうやって計測するのかは同じ土俵で計算しやすい指標で考えておく必要がある。
  • ①国、②県、③市の助成のうち、③の助成は10-15%の生産性向上が認められた。②も多少出ているが、①はほとんど効果が認められないのが実情。
  • 中小企業の40%は助成金を全く利用していない。ここをサポートしていく必要はある。

そんな発表があって、最期に発表中で出ていたキーワードに触れながらパネルディスカッションがありました。

今日のキーワード
▼パネルディスカッション

  • 補助金が増えるほど、産業が衰退するという話があるが、これは間違い。産業が衰退しているから補助金が増えている、という見方が正しい。
  • 日本のベンチャーの特徴は少産少死。新しいチャレンジができる仕組みをどうつくっていくのかがキー。
  • 地域振興に必要なことは、
    • 基準線をつくること。どこを目指すのかを明確にすることが必要。
    • インセンティブをどう演出するのか。制度に盛り込むのかを考えること。
    • 住民主体の地方分権化の推進が必要。待ちではダメ。

<<<

もともとは立川の観光計画の中に盛り込めるヒントはないかなと参加した公開講座でしたが、実際は自社での仕事に横展開できる情報もちょこちょこあってよかったです。
終わった頃にはあたりは暗く、国立駅前までの大学通りはイルミネーションがきれいでしたよ。

大学通りのイルミネーション
そんな感じの公開講座でした。おつかれさまでした~。

0 件のコメント:

コメントを投稿