2008年1月2日水曜日

本「孤独にさようなら」

著者 : 辻仁成
マガジンハウス
発売日 : 2007-10-25
この年末に時間のあるときに読み進めて、やっと今日読み終わった本。

著者の辻仁成に「なんか知ってる・・・」って引っかかって借りてきたんだけど、映画「冷静と情熱のあいだ」の原作者だったんですね。それで名前は知ってたけど、どんな作品を書いてるのかとか全く知らなかった。

感想。ここに出てくる主人公は、ものすごく中身のある青年に成長すると思いました。生きるってこと、その為に必要なことの一つである食べるということ、生きていく世界の全容について、この主人公がしているみたいに体で覚える機会が俺は少なかった。一つ一つの物事に関心を持って、それを身をもって体感して、自分のモノにしていく。
学校の義務教育で教えられることが、なぜ自分に必要なのか。本当に理解しなきゃいけないのはテストに出る問題とその解法を覚えて卒業することではなくて、教わった事実から世界を学ぶことなんだ。その事実を知らずに勉強だけしてればいいって教えてる親がいるとしたら、それを知らないのは子供のせいじゃない。親の責任だ。大問題だと思いました。

歴史を学んで、こうやって歴史は動いてきて、だからあの場所にこんなものがある、とか、あの地域にはこんな苗字が多い、とか、その時代に今のあの企業はこんな成功をしたんだ、とか今も使われてるこれはこの時代から使われていたんだ、君達は何千年も前の人たちと同じ道具を使っているんだよ、先人の知恵ってすごいねぇ、とか。あの頃の人たちはこんなものを食べて、食べ終わったあとも全部肥料にしたりして社会はうまくまわってた。そういう小さいとこでの意識が世の中を温暖化から守ってたかもしれない、とか。

数学を学んで、この条件とこの条件から、これは真と言えるよね、でも置き換えて考えてみると君達のしてることはどうだろうか。とか、こことここの数字がこう変わったとしたら、答えはどう変わる?それは結局、何を意味することになる?とか。

動物を殺して、その肉を食べている。その動物にも親がいただろう。楽しみはあっただろう。そいつの肉を食べながら、これはマズイとか、嫌いとか、いらないから全部捨てちゃえとか、あまりにも当たり前に生活に溢れてることだけど本来はあっちゃいけないことかもしれない、そんな事実を思い出させてくれた本でした。
最低限、必要な分だけでいい。そして必要としたのなら、残さずに食べること。

自分が周りのどんな人たちやどんな生き物、どんな環境に支えられて生きていて、そこで自分にもできることがあってそれがやりたいのなら、それを学ぶ必要があって。自分にはまだまだ知らないことがたくさんあって、それを知りたいと純粋に思うなら学ぶ意欲も出るだろうし自分はどんなことをしたいから学んでるって主体的になっていくんじゃないかなと、それがいつか変わってもいいけど、そういう意識を持って、広い世界を知る為に学んでいて欲しいと思いました。

もちろん俺にも言えることだけど。知らないからって逃げちゃダメだ。
それじゃいつまで経っても成長しないし、孤独を克服することはできやしない。
経験値のなさは経験することでしか補えないんだから。

いい本だと思ったけど、この本は響く人と響かない人がいると思います。
ただ、読んでみる価値はあると思ったんで、興味のある人は読んでみてくださいな。

きっと、自分の知らない世界を知りたくなると思います。

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