2009年1月4日日曜日

本「誘惑される意志」

難しかった。確かにめっちゃ難しかったけど、名著だと思います。
多分、こういった分野では国内で一番進んでる本なんじゃないかな。

<本の紹介>
ヒトはなぜ、ドラッグや酒やタバコ、ギャンブル、不倫、強情、問題の先送りといった、明らかに自分にとって有害だとわかっていること、後悔するとわかっている行動をとってしまうのか。
ソクラテスやアリストテレス、フロイト、フランシス・ベーコン、ヒューム、サミュエルソン、・・・といった様々な分野の人たち(心の哲学、精神分析、行動経済学、知覚心理学、ゲーム理論、カオス理論、神経生理学、神学、…)も、自滅的な行動について研究をしているが、残念ながら、この問題を適切に解明できてはいない。本書では、心理学者である著者が、経済学的な思考のなかでももっとも微視的な応用(ミクロミクロ経済学、あるいはピコ経済学)から、人間の将来予測と価値付けに結び付けて、効用主義にかわる新しい価値の考え方(双曲割引曲線)を生物学的な見地から提示する。

途中で頭痛くなったし、"酸素が足りなくなる感覚"を味わった。
「感じる脳」のときも思ったけど、自分がこうなるときって多分、頭めっちゃ使ってる。
深呼吸が必要で、でっかいため息みたいに息を吐いて。でもわかんなくて吐いてるわけじゃなくて、わかる為に吐いてるというか、「頭もっと使う為にガソリンくれ」って脳に要求されてるような感じで。

文章はめちゃくちゃ難しいし、結論もなんかやたら長くて「えっと、何が問題で、何がわかったんだっけ?俺これしかわかんなかったけど、合ってる?」ってその場で翻訳者か書いた人に聞きたかったけど、読み進めてくとだんだん身近な問題になってきて。
そりゃラットやハトで実験してる仮説検証の結果は狙いがわかんなきゃ字を追うだけになっちゃうのもしょうがない。でもこれは読解力がないからじゃなく、きっと予備知識が足りないからなんだと思いました。

双曲割引についても、その加算性についても、今までに自分がリアルに経験したり、仲間が経験したり、これまでに見聞きしてきたいろんなケースを含めても納得のいく説明がなされてて、「この本すげぇ」って思いました。
「今日からダイエット始める!」って言ったそばからケーキを見ると「これ食べてから…」「ほら、今日は誕生日だし…」「今運動してきたから…」「みんな食べてるし…」とかって結局食べちゃうのはなぜなのか。1年後に1万円もらうのと、今5千円もらうのとを選べと言われたら今の5千円を選ぶくせに、3年後の5千円と4年後の1万円なら4年後の1万円が欲しくなるのは何故なのか。時間の間隔は同じなのに。また、ルールを決めてしまうことは一見効果がありそうだし、そのルールを守れれば簡単に目先の欲におぼれずに長期的な成果を出すことも夢じゃなくなるけど、逆にルールがあることで柔軟性がなくなることや、守れなかったときに次も守れなくなる、ルール以外のことを考えられなくなるといった諸刃の剣的な要素があること、さらにやりすぎれば時には拒食症になってまでルールに固執して食べない、みたいな危険な状態に陥る場合もあること、極端な例だけどその逆に「拒食症になるくらいなら、デブでいい」とかって思ってしまう心理とか、そういったことがいろいろ論理的に説明されてて、ちょっとこのレベルの本にお目にかかれると思ってなかったんで衝撃的でした。知ってるのと知らないのじゃ大違いだぞ、これ。

ただ、一気に読めないなら、最後の訳者の解説部分だけでいいと思います。結局そこを最後に読んで、「あーそういうこと」って思うことも多くて、よくまとまってると思うんで。何ページも割いてこの訳者が解説を書きたかった理由もわかる。元は洋書でその訳なんだから、勝手に本文を要約とかできないしね。

この本はぜひ読んでみてもらえたらと思います。
結構、価値観変わるかも。オススメです。

0 件のコメント:

コメントを投稿