2014年8月11日月曜日

時間とのつきあいかた

■はじめに

  • 我々は時間によって区切られ、いつも追いかけられている。しかもさらにこちらの方からそれに追いつこうとして焦る。もう何時だとか、あと30分だ、なんて。瞬間瞬間はかえって空虚になる。実際にはきりきり舞いしてやっていても、なんにもしなかったんじゃないかという錯覚に陥ってしまう。またこの時間の内容はひどく複雑で、せわしい。政治、経済、労働問題、相場、相撲、野球、テレビ番組、そしてそれらを反映した新聞、週刊誌。その奔流はバタバタバタッとすごい音がしている感じだ。現代人はこの巨大な雑音なしには生きられない。
  • Time is life。失った金は稼げばいくらでも戻ってくるが、失った時間は戻ってこない。
  • 手帳が予定でびっしり埋まってる人は、集中を要する仕事をしていない。創造的な仕事と無縁の人。
  • 社会は孤独や一人きりの時間を過小評価し、他者への愛着を過大評価している。
  • 人間というものは「年と共にしだいに忙しくなるものだ」ということです。なるほど学生時代もなかなか忙しくて、そのことは、私も自分の経験からして、よく承知していることですが、しかし一旦世間へ出ますと、なかなか学生時代の比ではなくなるのです。
  • 諸君らの将来は、しだいに内容的な忙しさが加わると共に、他面、学問知識は、いよいよ広く深くなることが要求せられてくるわけです。ところが、責任はしだいに重くなり、仕事はますます忙しくなるのですから、必要な知識を仕入れる暇がないというのが、まず現在壮年期にある人々の現状と言ってよいでしょう。
  • 時間が万物の中で最も貴重なものであるとすれば、時間の浪費こそ最大の浪費である。
  • すべてをやるのは無理で、問題は仕事の状況ではなく、自分自身にある。仕事のバランスを整えるための重要なポイントは、スケジュールを事実から分析すること。どれほど優秀な人でも、100時間かかる仕事を40時間や60時間でやりとげることはできない。自分への期待値で図るのではなく、スケジュールから分析することで、働きすぎを防げるようになる。

■基本方針

  • やりたいことを「戦略上役立つこと」と「それ以外のこと」で分けて考える。
    • 「戦略上役立つこと」についてはどんな種類の削減も行わず、資源の許す限りやるべきことをやり、入手できる限りの最高の素材を使用する。
    • 「それ以外のこと」は使い残しの資源(余った時間)を用いて行う。
  • どの仕事も98%はフォロースルーで、問題の98%はフォロースルーの欠如と関係がある。要求された事項と、それに対する適切な行動との時間差を短縮することで、多くのイライラを大幅に取り除ける。
  • 今に生きる人こそが未来を作っていける。今をドブに捨てている人に明日が本当にやってくるのか。今という瞬間はどんな人にも平等に与えられている贈り物の意味での最高のプレゼント。
  • 決めなければならないことの総数と答えを出すのに求められている速度とのあいだには、危険なほどの不釣合いがある。
  • 今日の人々は、往々にして、何らユニークな視点や創造性、新しい要素をプレゼンテーションに持ち込むことができていない。その理由は、彼らが賢くないから、あるいは独創的でないからではない。スローダウンし、1人になってじっくり問題を見つめる時間を持たなかったからである。物事の全体像をつかみ、核となるメッセージを見いだすには、「文明の利器に頼らず」に、1人で過ごす時間が欠かせないのかもしれない。
  • 一生についても、定年はいくつ、そこから逆算して、いくつで結婚し、いくつで子供をつくり、いくつで家を建てる。予定から逆算して、今を生きる。逆ではないか。そこから解放されなければ、ほんとうの時間はわからない。豊かで贅沢な時の流れを実感することはできない。
  • 意味のはっきりしない文句には、あまり長く関わらぬ方が、時間の経済というもの。

■働き過ぎを防ぐ方法

▼ステップ1:時間の予算を作る
  • お金のやりくりが上手な人は、一貫性のある方針のもと、予算を決めてその範囲内だけでお金を使う。これによって、借金やストレスを回避したり、必要なものへの予算の割り振りを正しく行えたりして、リターンが得られる可能性が高いものに投資している。
  • 時間の管理も同じことです。自分でやりくりできる時間を確かめるために、まずは1週間に何時間を仕事に使うべきかを計算する。仕事にばかり時間を使ってしまいそうな人は、下記の計算式を使って仕事の時間を出してみよう。
  • 1日当たりの仕事時間=24時間 - (睡眠時間+通勤時間+自分の時間+運動やエクササイズの時間+自分をケアする時間)
  • 「自分の時間」には、「それをやっていると満足感が得られること」にかかる時間を入れてください。例をあげるなら、家族と過ごす時間、ボランティア活動、人との交流、ピアノを弾く...などです。「自分をケアする時間」には食事や入浴などが入ります。1日ごとの仕事時間を出したら、1週間の時間を出します。毎日同じ人もいれば、日によって仕事時間が異なる人もいるでしょう。
  • 自分の仕事時間がわかったら、仕事中の時間についても詳しくみてみましょう。メールを打つ/計画を立てるなどの「メンテナンスの時間」、会議や文書作成などの「実行の時間」、マーケティングや面談などの「開発の時間」に分けて考えます。仕事中の行動をリスト化し、かかる時間または全体に占める割合を書いてみることをオススメします。
  • 一例として、私の1日の仕事時間を紹介します。2割はメールのやりとり、5割はプロジェクト関連の仕事、3割は「開発」の活動に割り当てられます。その活動自体にかかる時間だけでなく、準備などの関連作業にかかる時間もお忘れなく。1時間の会議なら、出席するまでに片道15分かかり、30分の準備時間があり、フォローアップのために15分かかります。つまり、会議にかかる時間は全体では2時間15分かかるのです。もし、会議にかける時間を1日の仕事時間の半分以下にしたいなら、1日の会議は2回まで、1週間で10回までに制限すべきです。
▼ステップ2:できる範囲で、省略する
  • 時間の予算を作ってみると、自分が思っていた以上に多くの時間を仕事に費やしていたことに気づくはずです。だからといって、すぐに上司へ相談に行くのはやめましょう。代わりに、自分のスケジュールをよく見直して、省略できるところがあるかどうか考えてみてください。
  • 自分は必要ないと感じられる会議への欠席を交渉する
  • 同僚と1週間に50通もメールをやりとりする代わりに、1対1のミーティングを持つようにする時間をかけて完璧にやる必要がない仕事に時間を使わないようにする
  • 新着メールを知らせるポップアップを解除する
▼ステップ3:予想と現実を比較する
  • 時間には限りがあることを自覚し始めれば、しめたもの。次に必要なのは、予想と現実を比較する作業です。例えば、メールには1日1時間しかかからないと思っていたけれど、実際かかる時間は1日2時間かもしれません。実際にかかった時間をはかる方法は、どのような方法でも構いませんが、正確に計りたい方は『RescueTime』などのツールを使ってください。
  • 実際にかかった時間が分かったら、『TypeIt4Me』などのツールを使って簡潔にメールのやりとりをするように工夫しましょう。もし、努力しても時短できなければ、その作業にかかる時間をあらかじめ長くとっておくようにしましょう。
  • パレートの法則に基づいてスケジュールを考えるのも手です。でも、そのためには自分で全部をこなして、みんなを満足させるのは無理だと肝に銘じておく必要があります。さまざまな作業の価値について見直すうちに、 例えば希望されて出席している会議のいくつかには出ないほうが良いことや、成果を挙げるためにいくつかの作業に費やす時間を減らす必要があることに気づくかもしれません。
  • 職場の交流会に2~3時間出席するかわりに、30~45分で切り上げてしまえば、1時間運動したり企画書を仕上げたりできます。さっさと帰るのは気が進まないかもしれませんが、長い目でみると、自分への投資のために有意義な時間がとれる、素晴らしい決断です。
▼ステップ4:相談する
  • 今までの3つのステップをやってみて、それでも自分の仕事ができないという場合は同僚に助けを求めるべきです。その前に、今までに確認した自分の仕事時間に関する事実を見直し、助けを求めることに後ろめたさを感じたり、自分ができない社員だと思ったりしないように!自分の仕事をやりとげられないという事実は、自分への評価を低めることではなく、環境を変えるべき時がきたというサインです。
  • 下記が、仕事量と時間に関する交渉をおこなう時のポイントです。
    • 事実を集める:プロジェクトの正確なリストを作り、それぞれにかかる時間を添えます(今までのステップで作れているはずです。)
    • 図を作る:1週間のカレンダーに仕事内容と時間を入れたシンプルな図でも、プロジェクトの全体像に時間などを入れた壮大な図でも、どちらでも構いません。目的は、仕事にかかる時間と実際にできる時間の差を見せることです。
    • 情報を提供する:交渉を、あなたと、あなたに仕事を頼んでいる人との戦いの場にしないように。仕事を達成するために、チームの一員としてあなたが最大限の貢献をするためにはどうすればよいか戦略的に考えよう、というスタンスで交渉しましょう。あなたの仕事内容が格下げされたり、他の人にまわったり、もっと簡単な内容にしてもらえたりするかもしれません。それにより、もっと重要度が高い仕事への時間を確保できます。
    • こうしたスタンスでのぞめば、反抗的な態度をとっているのではなく、時間に限りがある中で最高の仕事をしようと努力しているとわかってもらえます。
▼ステップ5:バランスを取り戻す
  • 仕事と日常生活のバランスは、常に変化します。スケジュールを立てて10年間そのまま使い続けるというわけにはいきません。毎日、毎週、または毎月、スケジュールを見直し、バランスを組み直す必要があります。メールにかかる時間が長い週もあれば、プレゼンテーションの準備に多くの時間を費やす週もあります。会議で現状を把握することに長い時間がかかる週もあります。目的は、1週間のうち仕事にかかる時間をきちんと把握し、ワークライフバランスをとることです。
  • 最後に励ましと、注意事項を。今回紹介した方法を実践すると、もっと健康で幸せになることに加え、謙虚になれます。自分の時間に限りがあることを知り、自分は完璧ではなく、すべてをいっぺんにやりとげることはできないと気づきます。チームでの仕事で完璧を求めてきた場合は、この謙虚な姿勢が、あなたのチームでの存在感に変化をもたらすでしょう。今までの「決してノーを言わない、短い締め切りも守る、ストレスいっぱいのチームメンバー」ではなく「締め切りを守り、質の高い仕事をこなす、いつも穏やかなチームメンバー」に、自分を変えていきましょう。時間はかかりますが、最終的には自分を高め、まわりも喜ばせる変化になるはずです。

■工夫

▼モーニングページをつけてみる
▼ポジティブに捉える
  • やる気のない人が計画を作っても効果は期待できない。
▼「出来事時間」に注意する
  • 心の中の時計独自の法則のこと。たくさんの出来事が起こるには多くの時間が必要で、出来事が少なければ少ない程、経過時間は短く感じ、必要な時間も短く見積もること。銀行のATMの待ち時間などがいい例。
  • わかってみればなんでもないことを、自分のからだ全部を使ってわかってみる。そうやってひとつのことを知るほうが、百の知識を頭に入れることより大切なのではないでしょうか。それが生きているっていうテンポなんでしょう。けっして慌てたり、急いだりしなくていいのです。一日早くやったからといって、人より多くやったからといって長い人生の中でそれがいったいなんになるのでしょうか。そういうことよりも、自分のテンポを見極めてコツコツと、あるいはトボトボと歩いていくことの方が実りは大きいと思う。
▼リスト化するより終わらせる
  • 「1枚の書類に2度は触らない」こと。その書類の重要性はともかく、一旦取り上げたら、ただちに処理すること。そうすれば読み返したり問題点を再考したりする時間と手間が省ける。
  • 「やるべきこと」のリスト作りは生き物と同じで、そのリストを消化するために使う時間まで食ってしまう。全ての仕事に優先順位をつけるのは大切だが、そのリスト作成に多くの時間を割くのは時間の無駄だ。
  • 「ただちにフォローする」ことを習慣づければ、リストを書き出す手間が省け、そんなことに時間を割かずにすむ。どれが重要で、どれを後回しにするか、つまり自分の仕事を「ランクづけ」することは、賢明な方法とは限らない。後回しにされた項目はリストの下に埋もれてしまい、のちにそれが重大な危機を招くまで、忘れ去られることになるからだ。それに、重要度をつけるというのは完全に主観の問題だ。あなたの見積もりが全く検討外れになる可能性もある。
  • 「多くの人がムダに時間を使い、ムダに金を使い、ムダなチャレンジをし、ムダな努力をしている。そうしているうちにどんどん若くなくなっていくのだ。そうならないためにこの本を読んで欲しい」と著者は訴えています。
▼時間を切る
  • 「10分間ルール」で行動する時間を限定すること。ただちに電話をかけるか、メールを送る。この10分間ルールを活用することでどれほど効率と生産性が上がるかに気づけば、あなたの自信もぐんと増大する。
  • キッチンタイマーやストップウォッチを使って、制限時間を設けてしまうことで無駄な時間を省こうとするし、完璧な仕上がりにこだわらなくなる。
  • 一日何かをやめてみる。「(時間が)ぱんぱんに入った器から何かを外に出すんや。そしたら空いた場所に新しい何かが入ってくる。それは、勝手に入ってくるもんなんやわ。たとえば、自分の周りで会社辞めたやつも、意外としぶとう生きてるやろ。それは、会社辞めることで空いた器に何か新しい仕事が入ってきとるからやねん」
▼遊びの時間を作る
  • 20%のエネルギーは会社がアサインした仕事以外に使いなさい、というルール。例えば、新しいサービスを考え出しなさい。
  • 塗り絵の中を色で塗っていくのがアサインされた仕事だとすると白紙の上に自分の想像力で新しい絵を描くことが要求される。
  • 二百、三百と数えながらこいでいるうちに、ぼーっとなって、いくつまで数えたか分からなくなり、また一から数え始める。それを繰り返しているうちに頭が完全に空っぽになる。これをかれは「馬鹿になることによる神化」と言っている。このあたりの理屈は精密である。
  • 今日の自分が昨日の自分より進歩していなくたって、別にそれでかまわないではないか。
▼まっすぐ帰宅する
  • 「会社終わったら自由やから遊んでええっちゅうわけやないんやで。むしろ逆やで。会社が終わったあとの自由な時間ちゅうのはな、自分がこれから成功していくために『自由に使える一番大切な時間』なんや」

■注意点

▼よく働く割に成果のあがらない人の特徴

  • ひとつの仕事に必要な時間を過小評価する人
  • 急いでやろうとする人
  • 同時にいくつかのことをする人

▼今日の仕事を今日しないこと

  • 今日提出しなければならない仕事はその前日、前週、できうるものは前月のうちに準備し片付けてしまうこと。
  • 他人とする仕事はスタート時間だけを、1人でやる仕事は締切時間だけを設定している。この習慣を変え、スタート~締切までの時間を設定することで時間管理はしやすくなる。

▼待つことも必要

  • 待つことも一つの技術であり、待つことによってものごとが達成されることもある。時間的に無理なことはいかに懸命に働いても、どんなに多額のお金をつぎ込んでも、どんなに地団駄を踏んでも、今日中には達成できない。それが、2年待つだけで達成できることもある。

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